こんばんは。日本の天気今と昔シリーズ第7話です。
またまた日が経ちすぎてしまいまして笑
ついに8月も終わってしまいました。
9月に入ってから台風21号や北海道での地震など自然災害が相次いでいます。
また今は秋雨の時期でもあり今日の夜から全国的に天気も下り坂ということで、二次災害等これ以上被害が拡大しないことを祈るばかりです。
さて、8月が終わったということはようやく今年の情報が全て揃ったということで。
今回は「最高気温」に関して以下の視点から今まで以上に深掘りしていきます。
※この記事は気象庁のホームページよりダウンロードしたデータ(名古屋の7・8月の最高気温・最低気温)を元にExcelを用いてグラフを作成しています。
URL:https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
検証5:最高気温を深掘り
①最高気温の気温別日数
どこまで細分化するか迷いましたが、1℃刻みでは見にくくなるので、2℃刻みで以下のように分けました。
30℃未満(青) 30℃以上32℃未満(水色) 32℃以上34℃未満(黄緑)
34℃以上36℃未満(黄) 36℃以上38℃未満(橙) 38℃以上(赤)
このように(虹色っぽく)色分けして棒グラフにしたものが以下です(7・8月は計62日なので各年の日数の合計は必ず62日になります)。
データが多いため、前期(1923〜70年の48年間)と後期(1971〜2018年の48年間)に分けました。
なるべく見やすいようにと思ったんですが、見にくくて分かりづらいですね・・・
パッと見あまり変わらない気がしないでもない。
ただこう見てみると極端な年が分かりやすい。
例えば以下の2点。
1)1942年と2018年は赤(38℃以上)が多い
2)1928年・1982・1993年は黄色以上(34℃以上)が無い
1)1942年と2018年は赤(38℃以上)が多い
今年2018年は記録でも体感でも確実に暑かったと思います。
ところが今年記録を塗り替える前の、観測史上最高39.9℃を記録した1942年の日数が今年とほぼ変わりないように見えます。
実際に1942年と2018年を個別に比較してみましょう。
1942年 | 2018年 | |
※ | 11→11→18→9→7→6 | 12→13→17→8→7→5 |
最高気温記録 | 8月2日 39.9℃ | 8月3日 40.3℃ |
7月平均気温 | 28.5℃ | 29.3℃ |
8月平均気温 | 27.5℃ | 29.7℃ |
備考 | 7月28日〜8月4日の8日間連続で
38℃以上を記録 |
8月2日〜8月11日の10日間のうち7日で
38℃以上を記録 |
※左から順に、最高気温が38℃以上→36℃以上38℃未満→34℃以上36℃未満→32℃以上34℃未満→30℃以上32℃未満→30℃未満日数
確かに日数の分布はほぼ変わらないですし、何なら8日間連続で38℃以上を記録って相当です。
にもかかわらず平均気温を見ると、8月は何と2℃以上も差があります。
それはなぜか。答えは簡単です。
1942年の方は最低気温が低いから。
ただそれだけです。前回の結論通りです。→前話結論「涼しい時間帯が少ない現在の方が昔より暑い!」
2)1928年・1982・1993年は黄色以上(34℃以上)が無い
こちらも同じように個別で比較してみましょう。
1928年 | 1982年 | 1993年 | |
※ | 13→20→29 | 11→16→35 | 9→13→40 |
最高気温記録 | 9月1日 34.1℃ | 8月7日 33.9℃ | 9月2日 33.7℃ |
7月平均気温 | 25.1℃ | 23.4℃ | 23.6℃ |
8月平均気温 | 25.3℃ | 26.0℃ | 25.2℃ |
8月降水量・日数 | 143.7mm 11日 | 362.0mm 12日 | 164.0mm 16日 |
備考 | 8月2日〜10日の
9日間連続で 最高気温が30℃未満 |
8月1日に
最高気温 23.9℃を記録 |
8月3日〜9日の
7日間のうち4日で 最高気温が25℃未満 |
※左から順に、最高気温が32℃以上34℃未満→30℃以上32℃未満→30℃未満日数
※降水日数は5mm以上の雨が降った日数
どの年も同じようなデータ、あからさまな冷夏の年です。
どの年も8月の降水量が多く、8月の3分の1以上は雨が降っています。
例えば8月の降水量と日数の平年(1981〜2010年の平均)は126.3mm・8.7日です。
降水量はもっと多い年もありますが、やはり日数は多いため最高気温も控えめなのでしょう。
ちなみに今年8月で最高気温が30℃を下回ったのは8月15日29.5℃の一日のみです。
②最高気温の年別頻出気温
先の棒グラフでは突出した年くらいしか分かりませんでした。
そこで次は、7・8月で一番日数の多い分布帯に関する折れ線グラフを作ってみました。
縦の目盛りを「34℃以上」などとする技術が無かったので、
0:30℃未満 1:30℃以上32℃未満 2:32℃以上34℃未満
3:34℃以上36℃未満 4:36℃以上38℃未満 5:38℃以上
と数値変換してグラフにしました(日数が同値の場合は数字の大きい方)。
明らかに近年のほうが2や3(最高気温34℃以上)の頻度が多いように見えます。
というか近年は0か2or3というように極端な気がします。
やはり細かく刻むと見えてきますね。
ちなみに1995年は「4:36℃以上38℃未満」が18日で最高、38℃以上も含めると計23日で今年の25日と合計はほぼ同じです。
両年共に2ヶ月のうち約5分の2は体温以上の気温になったんですね。
ただし①でも見たように今年は「5:38℃以上」が12日もありますが笑
③7・8月最高気温の年別最高記録
今までは平均記録や日数に目を向けてきたので、今度は刹那的な記録のみに着目してみます。
言葉が重複して分かりづらいですが、年別の「7・8月最高気温」の最高記録をグラフにしてみました。
※年によっては他の月に1年の最高を記録することもあります(1993年など、①参照)
直線は近似直線です。
正直結果は分かっていましたが、刹那的・瞬間的値を一日だけ取り出して比較しても駄目ですね笑
近似曲線は確かに若干は右肩上がりですが、誤差の範囲と言えなくもない程度。
ただこのように比較の仕方によって見え方が変わるという事実は大事です。
つまり「昔より今が暑い」という主張をしたいのなら、①や②のように細分化して日数で比較しましょうということです(ほぼ結論なので最後にまた出てきます)。
④(おまけ)真夏日・猛暑日の散布図
前々回にふと思ったんです。
縦軸・横軸をそれぞれ真夏日日数・猛暑日日数にして散布図を作ったら、昔は正の相関が、近年は負の相関が見られそう
このように考えた理由は、昔は真夏日の多い夏にしか猛暑日はないが、今はむしろ猛暑日が多すぎて真夏日が少ない傾向なのでは、と思ったから。
ということで調べてみました。
予想以上に同じ結果でした笑
真夏日日数に猛暑日日数を含めていないので、ある程度負の相関になるのは分かっていましたが、それでもここまで期待を裏切るような何の面白みのない結果が得られるなんて笑
結論
かなり長くなりましたが、以上を踏まえて今回の結論。
「昔より今が暑い」という主張をしたいのなら、
「最高気温帯を細分化した日数」または「最低気温」を比較しましょう
データって持ってるだけでは駄目で、その後にどう活かすかが鍵です。
その活かし方や見せ方も大事になるんですね。
次回予告
今回は「最高気温」を深掘りしたんですから、当然次回は「最低気温」を深掘りします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。それではまた次回!
to be continued…